運動方程式をエクセルで解く
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数学講座 「微分方程式入門」シリーズ

第9回 解けない微分方程式を解く  〜 運動方程式をエクセルで解く A 〜

 このページの記事を試すためには、表計算ソフト「エクセル」がインストールされたパソコンが必要です。
最初に、運動解析エクセルシートを ダウンロード してください。 ダウンロードしたファイル「motion-equ-table.zip」を解凍し、エクセルシート「運動方程式計算表.xls」を取り出します。 解凍したエクセルファイルをダブルクリックします。または、エクセルを起動し、解凍したファイルを読み込みます。

 シートタブのグラフをクリックしグラフページに切り替えます。 1、2行目に初期条件のパラメータ入力欄に初期値を入れます。 これだけで、いろいろな運動の v-t グラフ、s-t グラフを計算してグラフ化してくれます。

自由落下

 最初は、自由落下についてグラフをつくってみましょう。 高さ19.6[m]の高さから自由落下する物体の場合について計算してみよう。 初期値はつぎのようになります。

  1. 時間間隔は 1000分の1秒に設定するとして、[A2]欄に 0.001 を入れる。
  2. 初期位置は 高さ19.6[m]として、[B2]欄に 19.6 を入れる。
  3. 初期速度は 自由落下だからゼロとして、[C2]欄に 0 を入れる。
  4. 抵抗係数は 空気抵抗を考えないので、[D2]欄に 0 を入れる。
  5. 質量は いくらでも同じだが、とりあえず5.0[kg]として、[E2]欄に 5.0 を入れる。
  6. ばね定数は ばねは無いので、[F2]欄に 0 を入れる。
  7. 重力加速度は 9.8[m/s]だから、[G2]欄に 9.8 を入れる。

 初期値を入れるだけで、グラフが完成します。
 s-t グラフを見ると、地面に2秒で落下すること、そのときの速度が 約20[m/s]足らずにになること(正確には19.6[m/s])が分かります。

投げ上げ運動

 次に、投げ上げ運動についてグラフをつくってみましょう。 地面(高さ0[m])から、速さ9.8「m/s」で投げ上げるとしましょう。 初期値はつぎのようになります。

  1. 時間間隔は 1000分の1秒に設定するとして、[A2]欄に 0.001 を入れる。
  2. 初期位置は 高さ0[m]だから、[B2]欄に 0 を入れる。
  3. 初期速度は 9.8[m/s]として、[C2]欄に 9.8 を入れる。
  4. 抵抗係数は 空気抵抗を考えないので、[D2]欄に 0 を入れる。
  5. 質量は いくらでも同じだが、とりあえず5.0[kg]として、[E2]欄に 5.0 を入れる。
  6. ばね定数は ばねは無いので、[F2]欄に 0 を入れる。
  7. 重力加速度は 9.8[m/s]だから、[G2]欄に 9.8 を入れる。

 s-t グラフを見ると、最高点に達するのは1秒後、地面に落下するのは2秒後と分かります。

空気抵抗がある落下運動

 少し複雑な落下運動として、空気抵抗がある場合について、計算してみよう。 高さ19.6[m]の高さから自由落下する物体の場合について計算してみよう。
 空気抵抗があるので空気抵抗の程度を数値で与える必要があります。 空気抵抗力 R は、物体の速度に比例すると考えることが出来るので、速度 v として、 R = k v と示すことが出来ます。 この抵抗係数 k を数値として与えてみます。なお、この抵抗係数は実験より求めます。

 初期値はつぎのようになります。

  1. 時間間隔は 1000分の1秒に設定するとして、[A2]欄に 0.001 を入れる。
  2. 初期位置は 高さ19.6[m]として、[B2]欄に 19.6 を入れる。
  3. 初期速度は 自由落下だからゼロとして、[C2]欄に 0 を入れる。
  4. 抵抗係数は 空気抵抗の抵抗係数を 1.0[Ns/m] として、[D2]欄に 1.0 を入れる。
  5. 質量は いくらでも同じだが、とりあえず5.0[kg]として、[E2]欄に 5.0 を入れる。
  6. ばね定数は ばねは無いので、[F2]欄に 0 を入れる。
  7. 重力加速度は 9.8[m/s]だから、[G2]欄に 9.8 を入れる。

 抵抗係数が 1.0 になったため、最初に示した自由落下のときと比べると、

  1. 落下する時刻が、空気抵抗がないときの2.0秒より少し長い(2.25秒位)時間になる。
  2. 落下するときの速度が小さくなる。
  3. v-t グラフが下に凸となるような変化である。
 以上のように少し変化しています。

 質量を軽くしてみましょう。5.0[kg]から1.0[kg]に変更してみよう。 s-t グラフを見ると、地面に3秒になります。 抵抗が同じなら、軽い物体の方が落ちるのが遅いことが分かります。

 質量を10[g](=0.01[kg])にしてみるともっと良く分かります。 これくらいになると、一瞬にして等速運動になって落下してゆくことが分かります。

ばねの単振動

 水平面に置かれた、ばねの単振動についても考えてみよう。 初期値はつぎのようになります。

  1. 時間間隔は 1000分の1秒に設定するとして、[A2]欄に 0.001 を入れる。
  2. 初期位置は ばねが0.10[m]伸びた位置で手を離すので、[B2]欄に 0.10 を入れる。
  3. 初期速度は 静かに手を離すのでゼロとして、[C2]欄に 0 を入れる。
  4. 抵抗係数は 空気抵抗を考えないので、[D2]欄に 0 を入れる。
  5. 質量は いくらでも同じだが、とりあえず1.0[kg]として、[E2]欄に 1.0 を入れる。
  6. ばね定数は ばねは100[N/m]として、[F2]欄に 100 を入れる。
  7. 重力加速度は 水平に置かれているのでゼロだから、[G2]欄に 0 を入れる。

 初期値を入れるだけで、単振動のグラフも出来上がります。
 s-t グラフを見ると、振幅が0.10[m]周期が0.63秒になっていることがわかります。 また、v-t グラフを見ると、最高速度が 1.0「m/s」になり、全て理論的な計算と一致しています。

 質量を4.0[kg]と重くしてみましょう。周期が2倍に長くなりました。 また、反対に質量を0.25[kg]と軽くしてみると周期が半分になりますね。

空気抵抗がある単振動

 水平面に置かれた、ばねの単振動に空気抵抗がある場合についても考えてみよう。 初期値はつぎのようになります。

  1. 時間間隔は 1000分の1秒に設定するとして、[A2]欄に 0.001 を入れる。
  2. 初期位置は ばねが0.10[m]伸びた位置で手を離すので、[B2]欄に 0.10 を入れる。
  3. 初期速度は 静かに手を離すのでゼロとして、[C2]欄に 0 を入れる。
  4. 抵抗係数は 空気抵抗係数を1.0[Ns/m]として、[D2]欄に 0 を入れる。
  5. 質量は いくらでも同じだが、とりあえず1.0[kg]として、[E2]欄に 1.0 を入れる。
  6. ばね定数は ばねは100[N/m]として、[F2]欄に 100 を入れる。
  7. 重力加速度は 水平に置かれているのでゼロだから、[G2]欄に 0 を入れる。

 振幅が徐々に小さくなって振動が収まってゆく単振動のグラフも出来上がります。
 抵抗係数を10.0[Ns/m]とすると、もはや振動はせずにとまってしまいます。


2004/10/19  管理人(志)

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このホームページは、2003/11/07 に始まりました。